立教女学院 理事長ならびに理事のみなさまへ
日頃より立教女学院のためにご尽力を賜りまして感謝申し上げます。
さて、「立教女学院に建学の精神を取り戻す会」の総意として、対話の場を9月末日までに開催することを求めて9月5日付けで書簡をお送り致しましたが、本日まで、何ら返答がありません。
皆様には教職員、在校生、保護者、関係団体、地域社会などに対する「透明性の確保」「情報開示」などをその旨とする、「忠実義務」を果たす意思がないと、残念ながら受けとめざるを得ません。
私たちは、いままで「内なる解決」を目指して活動を続けて参りました。しかし、皆様にはその意思がなく、立教女学院の未来を取り戻すためにも、書状にも明記していた通り同封の公開質問状をお送りします。
質問およびご回答を2018年10月24日をもって公開いたします。
理事長ならびに理事の皆様に於かれましては、真摯な、誠意のある回答を、何卒お願い申し上げます。
2018年10月19日
立教女学院に建学の精神を取り戻す会
会 長 : 小林 豊和 (前藤の会 会長)
副会長 : 長谷川 英樹 (元藤の会 会長)
副会長 : 山岸 真太郎 (元藤の会 会長)
聖公会世話人 : 中村 邦介 (元女学院院長・東京教区司祭)
聖公会世話人 : 佐久間 達也 (元女学院事務局長)
聖公会世話人 : 堀内 昭 (元女学院理事)
近年理事会の権限が強化された一方、特に私学においては、寄附行為に明記されている「建学の精神の遵守」は当然ながら、教職員、在学生、保護者、卒業生、関係団体、地域社会などに対する「透明性の確保」「情報開示」など理事会の負う「忠実義務」について、より大きな責任を理事会が負うことが要請されています。この観点から、現在の立教女学院の姿勢と方向性についてお尋ねします。
1. 山中一前理事長は、短大・天使園募集停止の決議は、財政上の理由において問題がある旨お考え方の下で、その旨の発言をしておられましたが、この点、糸魚川順新理事長は、どのように継承されるのでしょうか?
理事長のお考え方やご発言は当然理事会の意思を表していることになりますが、理事会の意思が変更されない限り、発言が変わるとは考えられません。この点をご考慮の上お答え頂ければ幸甚です。
私たちは、短大・天使園募集停止決議の実質的な理由となった、赤字などの財務的理由が、虚偽であり、理由として成立しない、と指摘し続けて参りました。その指摘以降、理事らからも、財務的理由が理由として成立しない旨を含む発言を多く聞いてきました。また、手貝晳夫元財務理事ならびに若林一美元理事長が辞任されたのは、この点を踏まえてのものと認識しております。さらには、その後招聘された山中理事長も、決議の財政的理由の成立に問題があったことを示唆されていました。
今般、糸魚川理事長が就任されましたが、このような経過を踏まえ、理事会・理事長が、決議の財政的理由が成立するのか否かについて、どう継承されるのか?ご方針を伺いたく質問します。
上記のように、理事長のお考えやご発言は、当然理事長としてのものですから、取りも直さず理事会の意思ということになりますが、糸魚川理事長が就任され、短期間で理事会の意思が変わることはあり得ないことだと思いますので、この点も踏まえてお答えを頂きたく存じます。
なお、聖路加国際大学と立教女学院の二つの学校の理事長に糸魚川氏が就任されることに大きな疑問を感じます。何故、糸魚川氏が立教女学院の理事長に就任されたのか、明解にお答えください。
廣田勝一学院長も、立教学院院長と兼任しています。このような状況で、自立的な学校運営ができるのか疑問です。この点も踏まえてお答えください。
2. 短大・天使園募集決議が寄附行為上特別決議の形式をとらなくてもいい、というのは、どのような根拠からでしょうか?
本件短大・天使園募集停止決議が、形式的にも、特別決議でなく寄附行為違反であり、違法・無効なものであるという視点を持っており、今日までその旨指摘して、理事長・理事会の見解をお伺いしてきました。若林元理事長は、文科省関係機関のガイドラインがあり普通決議で足りる旨主張され正当化されていましたが、それ以外に、特別決議でなくとも問題なく有効だとするさらなる根拠はありますか?
3. 財政困難を短大・天使園募集停止決議の理由とする中で、今般の理事長・理事に高額報酬を支払われるなどの理事会決議は、どう整合的に説明されるのでしょうか?
財政困難を決議の財務的理由とされることに関連しますが、今般、山中理事長、養田理事に各千数百万円の前例のない報酬を約束され、そして、糸魚川理事長もそれを踏襲される、と聞いております。一方で、保護者に理解を求めるべく、短大が赤字であり経営が困難であるから、「財政を立て直すため断腸の思いで、短大を廃止することにした」と若林元理事長が保護者に説明されましたが、このような財政状況下で、理事報酬を“有”報酬化・増額されるのは、元理事長の発言に明らかに背くことになり、信じられないことです。
この点、どのように考えて“有”報酬化され、さらには高額の報酬を支払われることにされ、また、新理事長の下での理事会は、これを踏襲されるのでしょうか?
なお、そのような増額ができる、ということは、取りも直さず、財政が困難という理由が虚偽だったことの証拠になります。
4. 建学の精神によるキリスト教教育を有名無実化しようとしているのでしょうか?
いわゆるミッションスクール性から離れ、偏差値優先の教育に方向転換されるのでしょうか?
本件決議の理由や本件決議後の説明を見るとき、キリスト教教育、ないし、建学の精神から来る教育方針(ミッションスクール性)をなくする動きに見えますが、どうお考えなのでしょうか?
私たちは、この活動を通じ、以下の観点を獲得しました。
「キリスト教教育は、宗教教育という面だけではなく、これを通じて育成される生徒たちの『人や物事に対するリスペクトの気持ち』が、物事(例えば、理科教育における生物やモノ)を深く理解するためには必要であり、また、社会で活動できる人材が持つ資質の必須の要素になる」という視点です。
すなわち、キリスト教教育は、学ぶ人の動機に働きかける教育で、偏差値教育は結果を強制する教育です。
仮に偏差値教育あるいは産業界の必要人材育成教育をされるとしても、そこにおいてもキリスト教教育は極めて有効であり、その点において他の一般教育よりはるかに優れている、という視点です。
現に、従来の立教女学院のキリスト教教育の結果、多くの子女が、おかげさまで学力をつけ、志望大学に合格し、社会に貢献する人材となってことが、そのことを証明しています。
以上の観点をご考慮頂き、立教女学院の歴史と伝統を受け継ぎ、建学の精神を堅持し、寄附行為を尊重し、キリスト教教育をさらに推し進めて頂きたいと念願します。